時間と中味
- tsuruta
- 2020年5月27日
- 読了時間: 2分
更新日:2020年5月31日
驚くことがあった。
ある情報サービス業大手で、金融、通信向けソフト開発に強い上場会社から、IR会議はコロナ対策のため30分しかできないという。内容はこうだ。「弊社IR対応におきましては、複数人で対応させていただいており、対応日数が限られていることから、IR対応は、1社あたり30分、電話会議形式にて対応させていただいております。」という。
最初は冗談かと思った。しかし、どうも本気でこれをやっているらしい。「コロナで30分」ということらしい。
30分では、米国と日本から質問しても2~3問が良いところだろう。我々の調べ尽くしたうえでの本質的な質問に、的確にこたえられるIR担当は少ない。これまでの実績からすると平均2問である。欧州の投資会社にも聞いてみた。30分でのIR対応となっている会社はあるか、と。英国の投資会社2社からはそんな会社はない、という。やはり、日本独特であるのか、いや、この会社だけだろう。他には聞いたことがない。
IRミーティングでの話は、結構、違う角度からあれこれ聞いて、やっと「こういうことか」となる。違う認識基準や評価認識にある場合、理解するのに案外時間がかかるものだ。それを、この経営企画のIR担当は理解していない。というより、IRそのものが面倒なのだろう。
「時間と中味」は比例しない。当たり前だ。だが、短過ぎる場合は一致する。どうしようもない消化不良となる。中味のないミーティングなど、すべきではない。形だけで本当に株主に対応しようというつもりがない会社などとは、会いたくもない。普通の投資家や株主は、そう思うだろう。
このIR担当者は、四半期の自社の発信(音声によるIRミーティング)でほとんどわかることであり、基本的にはそれを見てくれということだろう。言いたいことは分かる。しかし、何か勘違いしていないか。
「誰のためのIRか?」というとこである。
こういう会社は、株主を軽視していると言って良いだろう。コロナ対策を名目にしているが、すべて『自己都合』ではないか。それならそれで、こちらもそのように対するだけである。中味がない時間は、そもそも無駄であろう。なぜ、この会社は上場したのか、とおもってしまう。ここの経営者は知らないであろう、IR担当がそういう対応をしていることを。
「中味と時間」は、ある場面では一致する。
理解が深まらない短過ぎるIRなど、もはやIRではない。
今年の桜を振り返って、短い命の花であればこそ、その値打ちがあるという。桜はそうだろう。しかし、桜とIRは短ければよいというものではあるまい。
妙な会社や風潮が出てきたものだ。避けよう、誠意のない会社と接するのは。そう感じたメールであった。
先月の桜を惜しみながら・・・。

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